宇宙戦艦ヤマト2202 愛の戦士たち

SPECIAL

スペシャル対談 監督●羽原信義×シリーズ構成・脚本●福井晴敏

─『さらば宇宙戦艦ヤマト』公開当時、福井さんは10歳、羽原さんは15歳だったそうですが?

羽原初日に行きました。映画が終わっても、みんな泣いていて立とうとしないんですよ。あれは初めての体験でした。
福井俺はリアルタイムでは見れなかったんです。当時ちょうど前の劇場版がテレビでやっていて、それが初めての「ヤマト」体験でした。
羽原そうすると僕も福井さんも体験したのは同じ歳なんですね。僕が最初のテレビシリーズをリアルタイムで見たのが10歳ですから。

─『さらば宇宙戦艦ヤマト』公開当時、福井さんは10歳、羽原さんは15歳だったそうですが?

福井1980年の年末にテレビでやったときです。初めて見たときは、もう滂沱の涙を流したおぼえがありますね。もう先に『宇宙戦艦ヤマト2』も『新たなる旅立ち』も見てるんですけど(笑)。

─いま『さらば』をリメイクするということを、どのようにお考えですか?

福井『さらば』という映画は、見るたびに印象が変わっていく作品なんですよ。今回の仕事にあたって、ブルーレイで観なおしてみたんです。すると、いままで見えなかったことが見えてきて。あれが単に地球という国家を守るためだけだったら、ただの特攻賛美映画になってしまうんですが、そうではないんですね。この作品のテーマは「愛」という言葉に代表されるように、ヒューマニズムの問題なんだというのが見えてきた。ヒューマニズムが危機に陥っていることに対する、あの時代ならではのメッセージだったんだなと思うようになりました。(1970年代の終わりに)これから来る大量消費社会、多様性の失われていく時代に、あなたはどう抵抗しますか? その抵抗しようがないほど強大な時代の象徴として、ガトランティスがあったんだと。抗って人間であろうとするのであれば、それは命を賭けるだけの価値があるのではないか。人間は抵抗できるんだ。そういうことが描かれている。これは、今こそやらないでどうする!! あのとき警告されていたことが現実になってしまったこの時代だからこそ、『さらば』をやる意義があると思ったんです。
羽原あの映画のどこに感動したかというと、人が人を思う気持ちとか、男女を超えた信頼関係だとか。そういうところが泣けるポイントだったんです。特にラストで古代が雪の亡骸を横に座らせて敵に向かっていくシーンでは、それを見つめる仲間の眼差しがすごく優しくて、それがすごく心に響きましたね。その時に流れる名曲「大いなる愛」がこれまたすごく良くて激泣きでした。
福井あれだけ涙を流させて「愛」という言葉を流行らせたのは「ヤマト」なんですよ。だからヤマトを復活させるんだったら、そこに踏み込まないとダメなんじゃないかと思ったんです。
羽原福井さんの企画書には“「愛」を主題に掲げる”と書かれているんですよね。すごいなこの人、直球だと、びっくりしました。

─羽原さんはwebで発表されたコメントに「魂を込める」と書かれていますが、その真意は?

羽原やはりそれしかないんじゃないですか。魂を込める。特に『さらば』はキャラクターが生きていないと成り立ちません。僕は映像の人間なので、映像で自分の気持ちを福井さんの言葉に乗せていけたらいいなと思ったんです。すごいですよ、脚本。今の時代にここまでやるんだという骨太な内容になっています。
福井いまコンテンツが“おかゆ”、もっと言うと“流動食”みたいになっている。だから骨太の固さのある、ちゃんとした作品を作りたいと、いつも思っているんですよ。そういう意味でも、この「ヤマト」という作品はまたとないチャンスだったんです。
羽原脚本を読むと、そこがこう繋がるのかと思うことがとても多いんです。驚くことばかり。いまは最後に見終わったとき、ファンのみんなをどん底に突き落とすぐらいの気持ちで……(笑)。
福井いやいや落として上げてますから(笑)。
羽原映像を作る上では、まずは福井さんを驚かせたいですね。ストーリーを組みあげた人を驚かせる、そこまでやるくらいの意気込みがないと、きっとヤマトファンに納得してもらえないのではないかと思っています。
福井副題の「愛の戦士たち」っていうのは面食らうタイトルだと思うんです。でも見終わったら、これは間違いなく「愛の戦士たち」の物語だという作品になっています。「愛」という言葉を、人間性を象徴するひとつの言葉ととらえて、どんな実写映画よりもきちんと人間を描いているという自負はあります。そこのところを見ていただければと思いますね。

羽原信義 はばら・のぶよし

1963年生まれ、広島県出身。演出家・アニメーター。『宇宙戦艦ヤマト 復活篇』にメカニック演出として参加し、ディレクターズカット版にてアニメーションディレクターを担当。続く『宇宙戦艦ヤマト 2199』では第9話と第19話にて絵コンテ・演出で参加した。他の監督作品に『蒼穹のファフナー EXODUS』などがある。

福井晴敏 ふくい・はるとし

1968年生まれ、東京都出身。小説家。著作の映画化作品も多く、近年はアニメーションや実写、漫画などの原作・脚本に軸足を置いた活動を行っている。著作に『Twelve Y. O.』『亡国のイージス』『終戦のローレライ』『機動戦士ガンダムUC(ユニコーン)』『人類資金』など。

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