『宇宙戦艦ヤマト2199』から3年後の地球。人類はかつてない最大の危機に直面する……!!
かつて一本の新作映画がすべての状況を変えた。日本製アニメが隆盛したすべてが、その一本の転換点から始まったと言っていい。その作品とは1978年公開の『さらば宇宙戦艦ヤマト 愛の戦士たち』である。
観客動員数400万人、興行成績は前年ヒットした劇場版『宇宙戦艦ヤマト』と比較しても2倍以上。歴代ヤマトシリーズの中でも最大のヒットである。起こした新風はそれに留まらない。邦画では同年2位(1位は『野性の証明』)、邦画歴代でも4位という堂々たる成果を収め、新聞雑誌に大きく取りあげられたのであった。こうして本作でアニメの社会的認知が一変し、新たなビジネス開拓が始まったのであった。
その一端が、表紙とメイン特集を『さらば~』とした「月刊アニメージュ」(徳間書店)の創刊号である。これによって呼称も「テレビまんが」から「アニメ」へと大きく変化し、中高生以上の新しい観客層が定着する。そして『さらば~』がTV版再編集ではなく、堂々の完全新作であり続編であることが、何より大きな話題を呼んだ。
新たな敵・白色彗星帝国ガトランティスとの激戦で次々に倒れていくヤマトクルーたち。中でも古代進とヤマトが超巨大戦艦と差し違える自己犠牲を描いたラストは、公開までシークレット扱いであった。その衝撃も相まって、この作品が新たなヤマトファンを開拓したのであった。
こうしてアニメ全体の認知が拡大した結果、新たな観客層に向けたアニメ作品が次々と登場し、歴史を織りなすようになる。中でも『機動戦士ガンダム』(79)、『超時空要塞マクロス』(82)、『新世紀エヴァンゲリオン』(95)と一連のオリジナルSF作品は、ヤマト直系の熱いムーブメントを長期にわたって提示し、アニメ文化の中核を形成してきた。
そんな隆盛のきっかけとなった『さらば~』だが、これをTVシリーズ化した『宇宙戦艦ヤマト2』では古代たちが生き残る別バージョンのラストが描かれ、以後のヤマト世界は『2』の時系列上でパラレル化していく。
『宇宙戦艦ヤマト2199』は世界観やビジュアルを現代的にアップデートしたうえで原点回帰し、 かつガトランティスを先出しするなど包括的な再話を試みることで、 リメイクの域を超える新鮮さを打ち出して成功した。 この前作『2199』と1970年代にヤマトが果たした役割を踏まえ、 ヒットメーカー福井晴敏を迎えて再発進する『宇宙戦艦ヤマト2202 愛の戦士たち』は、新たな時代にどう向きあい、どんな物語を提示するのだろうか? そして問題のラストはどう描かれるのか? 期待は高まるばかりだ。
1974年 10月 | テレビシリーズ『宇宙戦艦ヤマト』放映・全26話 |
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1977年 8月 | 劇場用映画『宇宙戦艦ヤマト 劇場版』公開 |
1978年 8月 | 劇場用映画『さらば宇宙戦艦ヤマト 愛の戦士たち』公開 |
1978年 10月 | テレビシリーズ『宇宙戦艦ヤマト2』放送・全26話 |
1979年 7月 | テレビスペシャル『宇宙戦艦ヤマト 新たなる旅立ち』放送 |
1980年 8月 | 劇場用映画『ヤマトよ永遠に』公開 |
1980年 10月 | テレビシリーズ『宇宙戦艦ヤマトIII』放送・全25話 |
1983年 3月 | 劇場用映画『宇宙戦艦ヤマト 完結編』公開 |
2009年 12月 | 劇場用映画『宇宙戦艦ヤマト 復活篇』公開 |
2010年 12月 | 実写映画『SPACE BATTLESHIP ヤマト』公開 |
2012年 4月 | 『宇宙戦艦ヤマト2199』第一章劇場上映(全七章) |
2013年 4月 | 『宇宙戦艦ヤマト2199』TV放送・全26話 |
2014年 10月 | 『宇宙戦艦ヤマト2199 追憶の航海』劇場上映 |
2014年 12月 | 劇場用映画『宇宙戦艦ヤマト2199 星巡る方舟』公開 |
2017年 2月 | 『宇宙戦艦ヤマト2202 愛の戦士たち』第一章劇場上映(全七章予定) |